東京五輪を控えている日本。昨今のインバウンド需要の高まりを受けて、訪日外国人観光客に向けたメディアがどんどん誕生しています。WEBメディアやアプリ、本、フリーペーパーなど、そのタイプも多種多様です。どの国に向けて発信しているかによって、その媒体がフォローしている言語の数も変わってきます。
当記事では訪日外国人観光客に向けて「生きた情報」を届けているインバウンドウェブメディアをピックアップして紹介していきます。
インバウンド向けメディア作りの参考になるウェブサイト
運営者視点として、それぞれのメディアが伝えようとしている内容、ターゲット層に注目してみてみると、より参考になると思います。
日本文化の学びに特化した「MATCHA」
MATCHAは、各言語が使われている国や地域の出身者が記事を書いたり、編集したりしているため外国人が違和感を抱くことなく読めるようになっています。興味深いのは「やさしい日本語」という言語選択機能でしょう。日本語としては初級の言語のみで構成されたウェブサイトは日本語に興味がある、学習意欲の高い訪日外国人から人気を博しています。
Time Outという海外ローカルメディアの東京版「Time Out Tokyo」
今日しかできないこと、週末しかできないこと、今週しかできないこと、今月しかできないこと、といった期間限定のイベントアクティビティを軸に情報を充実させています。ターゲットは訪日富裕層のようで、高単価なアクティビティの情報も多めです。ターゲットユーザーに届ける為の情報整理がとても参考になります。
全日本空輸が提供する「Japan Travel Planner」
ANA(全日本空輸)が運営する日本の紹介サイト。日本国内のスポットの他、現代日本のカルチャーを動画や最新テクノロジーを駆使され、日本の魅力を余すところなく伝えています。シームレスに飛行機の予約にも繋げるところに運営者の特色がでていますね。
外国人目線で日本の情報を発信する「Japan-guide.com」
Japan-guide.comはインバウンド向けのポータルサイトの老舗で、最大手と言っても良いメディアの一つです。数ヶ月以内に訪日旅行を予定している外国人が情報収集を行ったり、「日本に行ってみたい」と考えている潜在的な訪日旅行者に向けて発信しています。現地に足を運んだ外国人からの情報は、これから訪問しようと考えている外国人にとって実用的なものが多く、日本人とは違った視点での情報提供を強みとしています。
有名なガイドブック「Lonely Planet」
日本各地の基本情報がぎっしりとつまった、王道の日本ガイドです。ランキング形式にまとめられた旅情報はこれから日本のどこを巡ろうと計画しているユーザーにとって最適なコンテンツでしょう。Lonely Planetの書籍情報と連動したウェブメディアです。
日本発の訪日メディア「All About Japan」
生活総合情報サイトAllAboutが送る海外向けの日本情報。国内外在住の外国人ライターが外国人目線で日本情報を発信しています。季節のトレンドや日本の見どころについての特集が豊富で日本人が見ても楽しめる内容に感じました。
日本中の絶景スポットを紹介する「ZEKKEI Japan」
ZEKKEI Japanは日本の絶景スポットを紹介する訪日観光客向けのメディアです。訪日外国人観光客の数は年々増加していますが、まだまだ交通の便が良い都市部への集中となっていることで「地方の美しい景観」という魅力は伝えきれていないのかもしれません。ZEKKEI Japanではプロカメラマンの良質な写真を中心にコンテンツを配信しており、日本に興味を持っている方が「ここに行ってみたい!」と思える絶景写真を通じてインバウンドコンテンツを構築しています。
日本に住むための情報にもリーチ「GaijinPot」
日本に関する英字情報サイト。仕事、学校、住居探し、トラベルガイドの各カテゴリーは、日本に住むうえですぐに役立つ情報が詰まっています。
日本の「コト」を、世界中の人にどう伝えるか
今回、たくさんのインバウンドをテーマに構築されたウェブメディアを拝見しましたが、メディアごとに様々な特徴を持っていて、そのターゲットも幅広く存在していることが分かりました。ウェブメディアに絞っての紹介となりましたが、大切なのは訪日ユーザーにむけて「伝える」ことができているか?ということです。
旅行の時に参考にする情報の多くはどんな体験ができるのか?といういわゆる「コト」の情報です。ネイティブレベルの翻訳が可能な場合、テキストで伝えることが可能かもしれませんが、自動翻訳レベルの外国語対応ですと、YouTubeなどを活用した動画のほうがより伝えることができるかもしれないわけです。イラストが得意であれば漫画を媒体に選択した方が良いというケースもあるでしょう。写真、動画は言語の壁を越えて美しさ、感動を伝えることが可能ですので、Instagram、YouTubeなどのサービスから認知を拡げてユーザーを獲得するという戦略は十分効き目がありそうです。
訪日向けのコンテンツとしては、日本人が思う日本のアウトプットというより、訪日されている方の視点での発見、驚きを情報に落とし込んだ方がウケが良いのかな?という感じがしました。モチロン日本人だから伝えられる日本の良さも必要ではありますが、ちょっと観光に来たという訪日ユーザーには難しすぎる知識になってしまうかもしれませんね。要素をしっかりと掘り下げたボリュームのあるコンテンツを目指すことと併せてメディアの特徴の出し方、何を伝えるのか?についてもしっかり検討するとよさそうです。
国内向けのメディアを運営されている方の中には、すでに訪日ユーザーのニーズにも叶ったコンテンツを構築できている方もおられると思います。集客のターゲットを国外に設定することで、そのウェブサイトのアクセス数、ユーザー数は別次元に飛躍します。是非、紹介のメディアを参考に訪日ユーザーに向けた情報発信を検討してみてはいかがでしょうか。個人ブログだからといって遠慮する必要はないでしょう。大手にできない情報発信を求めているユーザーも確実に存在します。